お話と教訓:倒れるまで

昔話
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今回のテーマ:倒れるまで

お話の中には人生の教訓、生きるためのヒントが散りばめられています。今回は倒れるまでというお話をご紹介したいと思います。一緒に内容を考えていきましょう。

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学べる教訓

・際限のない欲望は身を亡ぼす。

お話の内容

今は昔、インドに須彌羅(すみら)と呼ばれる修行者がいました。あるとき、彼の言うことがすこぶる国王の意に適ったようで、王は次のようにいました。
「褒美を取らせる。何なりと望みの物を申せ。」
彼はここぞとばかりこんなお願いを言いました。
「何卒、私に土地をください。そこに一棟の寺を建ててくださりませぬか」

王はさっそくその願いを受け入れました。
「たったそれだけの望みか。では、お前が片時も休まずに走り続けて、行き着いたところまでを、お前の土地として進ぜよう」

さて、この後須彌羅はどうなったでしょうか?

彼はこれを聞くと、直ちに身軽な服装で走り始めました。終日休むことなく走ったので、徐々に疲労を覚えました。しかし、寸尺でも土地が欲しかったので、ヘトヘトになりながらも、なお走ることを止めませんでした。最後には一歩も足が出ず、ついには地上に倒れこんでしまいました。それでも地に臥して、転げたり、這ったりして前へ進みました。ただ、それも長くは続きません。もう一歩も進めなくなったので、彼は、最後に手に持った杖を前方に投げてこう叫びました。
「この杖の行き着いたところまでが俺の土地だ!」

解説

皆さんいかがだったでしょうか?

このお話は最初は一棟のお寺が建てば良いという願いだった人が、いくらでも手に入るとわかった途端、自分がボロボロになるまで進み続けるお話です。

最初に王様は走り続けて行き着いたところまで、ということだったのですが、這って進んでいる時点で走っていないのですが、王様は認めてくれるのでしょうか。お話の続きがないのが残念です。

このお話で一番大切なことは、一棟の寺を建てるくらいの土地で良いと思っていたのが、もっと、もっと欲望を膨らませていったことでしょう。人間の欲望には際限がないのでしょうか。走った分だけ土地がもらえるとわかったら、私も走り続ける気がします。最後には自分がボロボロになるまで移動を続けていく様は、欲望の先に待っているのは自身の破滅ということを暗示しているのかもしれません。

自分の欲望とはうまく付き合っていきたいものです。

他のお話はこちら

それでは!

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