今回のテーマ:墨子と占い師
昔の人の逸話には考えさせられる逸話があります。今回は墨子とある占い師のお話をご紹介したいと思います。一緒に考えていきましょう。
学べる教訓
・無責任な意見に左右されるのではなく、最終的には自分で決める。
お話の内容
ある日、墨子(中国戦国時代の思想家)は北のある斉の国に行こうとして、途中ある占い師に会いました。占い師はこう言いました。
「今日は天帝が北方で黒竜を殺される。先生は色が黒いから、北の方角へ行くのはよろしくありません。」
墨子はこの言葉に従わず、北方へ向かいました。しかし、淄水(川の名前)にまではたどり着けたものの、目的地には行きつくことができずに帰って来ました。帰って来た墨子に占い師は言いました。
「私は北の方角へ行くのはよろしくないと言いましたね。」
さて、墨子は何と答えたでしょうか?
墨子はこう反論しました。
「南方の者で北に行けなかった者には色の黒い者もいれば、色の白い者もいる。北方の者で南に行けなかった者には、色の黒い者も白い者もいる。一体これはどういうわけか。」
解説
皆さんいかがだったでしょうか?
川までたどり着けた、とあるので、おそらく川の氾濫で渡ることができなかったのだと思われます。占い師は帰って来た墨子にドヤ顔で言ってそうですね。
これに対して、墨子は、占い師の判断材料が黒いか白いかに着目し、川の氾濫なのだから、色が白くても黒くても関係ないでしょう?と言っています。確かにその通りですね。
このお話の教訓は、占いはあくまでパフォーマンスであり、合理性はない無責任なものである、といったところでしょうか。
また、今回は占いの通りにした方が良かったようですが、このお話での墨子の態度に学ぶべきところは、占いのような無責任なものに判断を委ねるべきではなく、そのような結末であっても、自分の判断、責任で自分の行動を決めるべきだ、ということでしょう。
占いに限らず、自分の判断を他人に委ねてしまうと、「○○がこう言っていたから、そうしたんだ」というような他責になります。ただ、これではなぜそういった判断をしたのか、なぜそういう判断に至ったのか、という自分なりの過程がないため、その判断で何か失敗をしたときに、自分の中に何も残りません。
自分一人で抱え込むというわけではなく、他人の意見も参考しに、最終的な判断をしたのは自分、という風に、一旦自分の中で消化させることが学びであり、自分の糧となることと思います。
他のお話はこちら
それでは!
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