お話と教訓:泣き婆さん

昔話
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今回のテーマ:泣き婆さん

昔話には人生の教訓や生きるためのヒントが描かれています。今回は泣き婆さんというお話をご紹介したいと思います。一緒に考えていきましょう。

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学べる教訓

・ものの見方次第で良くも悪くも捉えることができる
・物事は表裏一体

お話の内容

南禅寺の門前に、“泣き婆さん”と呼ばれる女性がいました。彼女は雨が降れば降ったで泣き、天気が良ければ良いで泣いていました。雨でも晴れてもいつでも泣いていて、南禅寺の和尚が不審に思い、こうお尋ねになった。

「一体、おまえさんはなぜいつもそう泣くのか」

すると婆さんは言いました。

「私には息子が二人おります。一人は三條で雪駄屋(せったや)をやっております。もう一人は五條で傘屋をやっています。良い天気の日には、傘屋の方がさっぱり商売になりませんので、まことにかわいそうでなりません。また、雨降りになりますと、雪駄屋の方は少しも品物がはけませんので、困っているだろう。そう思いますと、泣くまいと思っても、泣かずにはいられません」

そこで和尚は「なるほど、話を聞いてみれば一応はもっともな様であるが、そう考えるのは下手じゃ。わしがひとつ、一生涯うれしく有難く暮らせる方法を教えよう」と言いました。婆さんはひざを乗り出して「そんなけっこうな事がありますならば、是非ともひとつお聞かせください」と言いました。

さて、和尚はどのような話をしたでしょうか?

和尚は次のような話をしました。

「世の中の禍福はあざなえる縄の如しというて、福と禍とは必ず相伴うものである。世の中は、幸福ばかり続くものではなし。かといって不幸せばかりが続くものでもない。お前は不幸せな方ばかりを考えて、幸せのほうをいっこうに考えないから、そのようにいつも泣いていることになるのじゃ。

天気の良い日は、今日は三條通りの雪駄屋は千客万来で目の回るほど繁盛すると思うが良い。雨の降る日には、今日は五條通りの傘屋の店では品物が飛ぶように売れていると思うが良い。こう考えれば、晴れれば晴れたで嬉しいし、雨が降れば降ったで嬉しいであろう」

それ以降、泣き婆さんは楽しく暮らしたという。

解説

皆さん、いかがだったでしょうか。このお話はものの見方次第で良くも悪くも捉えることができる、ということを教えてくれます。いつも悲しんでいるよりはいつも笑っている方が幸せですから、このお話のお婆さんのようにどうせ考えるのなら、いい面で考えるようにしたいですね。

また、このお話は物事には良い面と悪い面が表裏一体であることを考えさせてくれます。お婆さんは最初悪い面を見て悲しんでいましたが、例えば傘屋の息子はずっと天気が雨だった場合ずっと忙しいので、疲れてきてしまうかもしれません。晴れの日は儲からないかもしれませんが、休憩するいい機会ととらえることもできます。

このお話を心の片隅に覚えておき、自分が不幸だと思うようなことがあっても良い面もあるのではないか、自分が幸福だと感じていても悪い面がないのかどうか、物事はバランスですので、両方の面をしっかりと見極められるようになりたいですね。

他のお話はこちら

今回はこんなところで、それでは!

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