お話と教訓：２ズウォッティのモイシュ

今回のテーマ：２ズウォッティのモイシュ

昔話には人生の教訓、ヒントが散りばめられています。今回は２ズウォッティのモイシュのお話をご紹介したいと思います。一緒に考えていきましょう。

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学べる教訓

・一から十を察せよ
・賃金を決める人は雇い主

お話の内容

穀物を売り買いする商人のところで、モイシュという名前の若い男が働いていました。
賃金は週に２ズウォッティ（ポーランドのお金の単位）でした。長いことそこで働いてきたモイシュは、あるとき主人に聞きました。
「自分の賃金はなぜこんなに少ないのですか？もう一人のモイシュが週に６ズウォッティもらっているのに、なぜ、自分は２ズウォッティなんですか？」

その穀物商のところでは、もう一人、モイシュという男が働いていたのです。
「まあ、待て」と主人は言いました。
「そのうち理由を教えてやる」

数日後、その穀物商の家の下の道を、十台ばかりの荷馬車が隊列を組んで通りかかりました。。
主人は急いで２ズウォッティのモイシュを呼んで命じました。
「道に下りていって、何を運んでいるか聞いてこい」

モイシュは道に下り、戻ってきて報告しました。
「トウモロコシを運んでいるそうです」
再び主人は命じました。
「どこにトウモロコシを運んでいるか聞いてこい」
モイシュはまた道に下りて、荷馬車まで駆けていきました。しばらくするとモイシュは戻ってきて報告しました。
「トウモロコシを市場に運んでいるそうです」
それを聞いた主人は言いました。
「急いで下りて、誰に頼まれてトウモロコシを運んでいるのか聞いてこい」。

荷馬車はもう村はずれにさしかかっていたので、あわれなモイシュは犬のように走らなければなりませんでした。モイシュは走って戻ってくると言いました。
「隣町の町長さんに頼まれた荷物だそうです」
「じゃあ、トウモロコシの値段を聞いてこい」主人は言いました。

モイシュは、荷馬車に追いつこうと、馬に飛び乗り追いかけ、戻って来てトウモロコシの値段を伝えると主人は言いました。
「そこで、少し待っておれ」

主人はもう一人のモイシュ、つまり６ズウォッティのモイシュを呼んで言いました。
「道に下りていって、さっき通った荷馬車の商人たちの様子を見てきてくれ」

さて、この後６ズウォッティのモイシュはどうしたでしょうか？

６ズウォッティのモイシュは、馬にまたがって荷馬車を追いました。少しして、モイシュは戻ってきて報告しました。
「あの人たちは、隣町の町長さんに頼まれて、トウモロコシを市場に運んでいる商人たちでした。それで、売値を聞いて、すぐさま、それより少し高い値段で買うと申しましたら、重い荷物を運ぶのに疲れたので、うちの倉庫に荷を下ろすと決めてくれました。今、こちらに向かっています」

穀物商の主人は２ズウォッティのモイシュにこう言いました。

「これで、もう一人のモイシュとおまえの賃金が違う理由が分かっただろう？」

解説

皆さんいかがだったでしょうか？

このお話は、一から十を察することができることの大切さを伝えています。
一つのことを言われてそのことしかやらないとどうしても時間当たりの生産性が落ちてしまいます。

このため、一を言われて十を察することができる人は重宝され、６ズウォッティのモイシュのように賃金も上がることでしょう。言われたことは最低限のことと考え、それに+αをして返してあげれば自然と返せるものも増えていくと思います。

どうせなら６ズウォッティのモイシュになりたいと思いますが、個人的には６ズウォッティのモイシュはもう一人のモイシュの3倍以上の働きをしていると思います。

このお話は賃金を決定するのは最終的には雇い主である、という残酷な現実も伝えているのかもしれません。６ズウォッティのモイシュは独立した方が良いかもしれませんね。

他のお話はこちら

今回はこんなところで、それでは！